関係の安全 2026.04.30 更新

DV・モラハラ傾向チェック|恋人との関係で見逃したくない危険サインと対処法

恋人やパートナーとの関係で感じる怖さ、責められ続ける感覚、束縛や監視のサインを整理し、安全に距離を取るための考え方をまとめました。

01はじめに:恋人との違和感を、気のせいで片づけないために

恋人との関係で「怖い」「逆らいにくい」「自分ばかり責められる」と感じることがあるなら、見過ごさない方がよい兆候かもしれません。けれど、不安を感じている自分を、すぐに責める必要もありません。

この記事は、相手を一方的に判断するためではなく、自分の安全と心の状態を冷静に確認するためのものです。交際中、同棲中、結婚を考え始めた段階で感じる違和感を、少し距離を置いて整理していきます。

ただし、すでに身の危険を感じている場合は、読み進めるより安全確保を優先してください。緊急時は110番、相談先に迷う場合はDV相談ナビ(#8008)やDV相談プラス(0120-279-889)につながる選択肢があります。

02DV・モラハラにつながりやすい危険サイン

DV・モラハラの入り口は、分かりやすい暴力だけとは限りません。最初は「心配しているだけ」「好きだから不安なだけ」「自分にも悪いところがある」と見えやすい形で始まることがあります。

当てはまる数の多さだけで判断する必要はありません。大切なのは、その関係の中であなたが安心できているかどうかです。「普通の恋人同士のケンカ」と「怖さを伴う支配」は、分けて考える必要があります。

関係を振り返るチェックシート

相手を決めつけるためではなく、まずは自分が安心できているかを確認してみましょう。

  • 怒らせないように、常に言葉や行動を選んでいる
  • 反論すると、長時間責められたり謝るまで終わらなかったりする
  • 交友関係、予定、帰宅時間、服装などを細かく管理される
  • スマホ、SNS、位置情報、通話履歴を確認される
  • 別れ話をすると、脅されたり、自傷をほのめかされたりする
  • 物に当たる、壁を叩く、ドアを強く閉めるなどで怖がらせる
  • お金の使い方、働き方、生活費を過度に制限される
  • 「お前が悪い」「普通じゃない」と繰り返し言われる
  • 相手の機嫌によって、自分の予定や態度を変えている
  • 友人や家族に相談しづらい状態になっている

大切なのは、1つの行動だけで決めつけることではありません。繰り返し起きているか、謝った後も変わらないか、あなたの自由や人間関係が狭くなっているかを見ることです。判断に迷うときほど、一人で結論を出そうとしなくて大丈夫です。

03DV・モラハラは「暴力」だけではない

DVという言葉を聞くと、殴る・蹴るなどの身体的暴力を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし実際には、言葉、態度、お金、性、スマホ、交友関係を通じた支配も、関係の安全を壊します。

殴る・蹴るだけがDVではありません。怖さ、萎縮、孤立、支配が続いている場合も、見過ごさない方がよいサインです。

DV・モラハラで見落としやすい6つの分類

どれか一つだけで判断するのではなく、複数が重なっていないかを見ます。

  • 身体的暴力

    叩く、押す、物を投げる、逃げ道をふさぐ、首を絞めるなど。直接けがをしなくても危険です。

  • 精神的暴力

    人格否定、長時間の説教、無視、脅し、責任転嫁などで自尊心や判断力を弱らせる行動です。

  • 経済的支配

    生活費を渡さない、働くことを妨げる、収入や貯金を管理する、借金を背負わせるなどです。

  • 性的強要

    嫌がっている性的行為、避妊しない行為、画像や動画の撮影を強いることなどです。

  • 交友関係・行動の制限

    友人や家族との連絡、外出、服装、趣味、仕事を相手の機嫌で制限する行動です。

  • デジタル監視

    スマホ確認、SNS監視、位置情報共有の強要、パスワード共有の要求などです。

「暴力を振るわれていないから大丈夫」とは限りません。怖くて本音を言えない、相談相手が減っている、相手の機嫌を中心に生活が回っているなら、すでに関係の安全が揺らいでいる可能性があります。

04データで見る、DV・モラハラが見落とされやすい理由

DV・モラハラが見落とされやすいのは、被害が目に見えるけがだけではないからです。心理的攻撃、経済的圧迫、性的強要、監視や孤立は、外から分かりにくく、本人も「自分が大げさなのかもしれない」と考えてしまいやすい領域です。

まず、こうした悩みは決して珍しいものではないことを確認しておきます。データは、あなたの不安を煽るためではなく、状況を冷静に見るための手がかりです。

Official Survey DV・デートDVの主な割合

内閣府の令和5年度調査から、読者がまず押さえたい数値を並べています。配偶者・交際相手の行は被害経験の有無、行為別の行は配偶者からの被害経験の内訳です。

配偶者からの被害経験あり 25.1%
約4人に1人。身体的暴行・心理的攻撃・経済的圧迫・性的強要のいずれか。
交際相手からの被害経験あり 18.0%
恋人関係でも約5〜6人に1人が何らかの被害を経験。
心理的攻撃を受けた経験 18.0%
怒鳴る、脅す、人格を傷つけるなど、見えにくい被害が最多。
身体的暴行を受けた経験 13.5%
殴る・蹴るだけでなく、押す、物を投げるなども軽く見ない。
経済的圧迫を受けた経験 7.8%
生活費、収入、貯金、仕事を通じて逃げ道を狭める行為。
性的強要を受けた経験 6.5%
恋人・夫婦間でも、同意のない性的行為は暴力。

内閣府の令和5年度「男女間における暴力に関する調査」では、これまでに結婚したことのある人のうち、配偶者から身体的暴行・心理的攻撃・経済的圧迫・性的強要のいずれかを受けた経験がある人は25.1%でした。女性は27.5%、男性は22.0%です。

交際相手からの暴力でも、被害経験ありが18.0%、女性22.7%、男性12.0%と報告されています。警察庁の令和7年資料では、配偶者からの暴力事案等の相談等件数は98,289件で、配偶者暴力防止法の施行以降最多でした。

数字は、誰かを怖がらせるためではなく、「自分だけの問題ではない」と知るために使うものです。相手にも良いところがある、だから迷う。その気持ちがあっても、怖さや萎縮が続くなら一度立ち止まってよいサインです。

データから分かるのは、DV・モラハラは特別な人だけの話ではなく、恋人や配偶者との近い関係の中で見落とされやすいということです。違和感が続くなら、気のせいとして片づけず、記録し、誰かに共有する価値があります。

05危険度別:話し合うべきか、距離を取るべきか

恋人やパートナーとの違和感がすべてDV・モラハラというわけではありません。価値観の違いや不機嫌が多いだけなら、距離を置いて冷静に話し合える場合もあります。

一方で、暴言、人格否定、監視、脅し、暴力がある場合は、話し合いがかえって危険になることがあります。どの対応が正しいかは、状況によって変わります。特に怖さや脅しがある場合は、話し合いよりも安全確保を優先してください。

危険度別の対応目安

相手を説得できるかではなく、自分の安全と自由が守られるかを基準にします。

状況対応の目安優先したいこと
価値観の違い・不機嫌が多い すぐに結論を出さず、少し距離を置いて観察します。落ち着いた場で話し合えるかも確認します。 記録・振り返り
暴言・人格否定・監視がある 一人で抱えず、出来事を記録し、信頼できる第三者に相談します。二人だけで解決しようとしない方が安全です。 共有・記録
物に当たる・脅す・別れ話で怖い 直接対決より安全確保を優先します。別れ話の場所、時間、帰路、同席者を先に考えます。 安全な場所・相談
暴力・強い脅迫・行動制限がある すぐに信頼できる人や相談機関へ連絡します。緊急時は110番も選択肢です。 身の安全

「話せば分かってくれるはず」と思いたくなる場面ほど、相手が話し合いを安全に扱える人かどうかを見る必要があります。話し合いのたびに責められる、怖くなる、謝らされるなら、それは話し合いではなく支配に近づいています。

06安全に距離を取るためにできること

DV・モラハラの可能性がある相手と距離を取るときは、正論で説得するより、自分の安全を守る準備を優先してください。特に同棲中、家の鍵や荷物を共有している、相手が職場や実家を知っている場合は、別れ話の前に外部の人へ共有しておく方が安全です。

すぐに大きな決断をしなくても構いません。まずは、起きていることを言葉にしてみましょう。ここで大切なのは、相手を裁くことではなく、自分の安全と心の余裕を守ることです。

これは相手を罰するための準備ではありません。怖さや混乱の中でも、自分が安全に動ける選択肢を残すための準備です。

同棲中なら、身分証、通帳、キャッシュカード、薬、充電器、鍵、仕事道具など、生活に必要なものを確認しておきましょう。相手に見つかると危険が増す場合は、無理に持ち出そうとせず、相談窓口や信頼できる人に先に相談してください。

07「好きだから我慢する」で苦しくなっていないか

DV・モラハラの関係では、つらい出来事の後に相手が優しくなることがあります。謝る、泣く、プレゼントを渡す、「もうしない」と言う。そうした時間があると、「本当は優しい人だから」「自分が支えれば変わるかもしれない」と感じることがあります。

けれど、見るべきなのは謝罪の言葉より、その後の行動です。

「お前が怒らせたから」「不安にさせる相手が悪い」「好きだから束縛する」は、謝罪ではなく責任転嫁です。好きな気持ちが残っていても、怖さ、監視、人格否定、孤立が続くなら、我慢で解決する問題ではありません。

あなたの役割は、相手を変えることではありません。まず自分の心身の安全を守ることです。

08まとめ:違和感が続くなら、一人で抱え込まない

DV・モラハラ傾向のチェックは、相手を悪者認定するためではありません。自分が安全に暮らせているか、自由に判断できているか、怖さで行動を変えさせられていないかを確認するためのものです。

暴力、脅し、監視、孤立、経済的支配、性的強要があるなら、それは相性の問題ではなく安全上のリスクです。迷ったときは、「友人が同じ状況なら一人で抱えさせるか」と考えてみてください。相談してほしいと思うなら、あなたも相談してよい状態です。

09参考

Sources

本文内の統計・参考情報は、以下の資料をもとに確認しています。

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LoveLabo編集部

LoveLaboは、恋愛や結婚で迷ったときに、気持ちだけで抱え込まず、少し冷静に考えられるヒントを届けるメディアです。国勢調査・人口動態統計などの公的データや、実際の悩みをもとに、一人ひとりの選択に寄り添います。