01はじめに
結婚は、好きな人と生活を始める前向きな選択です。ただ、気持ちだけで進めるには、あまりにも現実の論点が多い選択でもあります。
厚生労働省の人口動態統計によると、2024年の婚姻件数は485,063組、離婚件数は185,895組でした。これは「2024年に結婚した夫婦のうち何割が離婚した」という意味ではありません。同じ年に起きた婚姻と離婚を並べた数字であり、個々の夫婦の離婚確率を表すものではないからです。
それでも、結婚生活のつまずきが珍しいものではないことは確かです。だからこそ大切なのは、不安をあおることではなく、結婚前に「どこでズレやすいのか」を知り、二人で現実的に確認しておくことです。
本記事では、裁判所の司法統計で見える婚姻関係事件の申立て動機を参考にしながら、結婚前に話し合っておきたいテーマを整理します。
補足:司法統計の「婚姻関係事件」は、家庭裁判所で扱われた夫婦関係調整などの事件に関する統計です。協議離婚を含むすべての離婚理由を表すものではありません。また、申立て動機は主なものを3個まで挙げる重複集計です。
02統計で見る、結婚後に揉めやすいテーマ
裁判所の「令和6年 司法統計年報 家事編 第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別申立人別」では、申立て動機として次のような項目が多く挙がっています。
申立て動機の件数が大きい順に可視化しています。バーは夫・妻の申立て件数の合計を基準にしています。
最も多いのは、男女ともに「性格が合わない」です。ただし、ここでいう性格の不一致は、単に性格が似ていないという話ではありません。生活リズム、お金の使い方、家事分担、親族との距離感、子どもや仕事への考え方など、日常の判断基準が合わないことの積み重ねです。
また、妻からの申立てでは「生活費を渡さない」「精神的に虐待する」「暴力を振るう」も多く挙がっています。これは、結婚前のチェックが「相性診断」だけで終わってはいけない理由です。相手と仲が良いかだけでなく、安全に暮らせるか、対等に話し合えるか、お金や生活の責任を共有できるかまで見ておく必要があります。
03結婚前に確認したいチェックポイント
価値観の違いを「話し合える違い」にできるか
価値観が完全に同じ相手を探す必要はありません。むしろ大切なのは、違いが出たときに話し合えるかどうかです。
- 子どもは欲しいのか、欲しいならいつ頃を考えているのか
- 共働き、専業主婦・主夫、転職、独立をどう考えるか
- 家事や育児の負担をどう分けるか
- 休日の過ごし方や一人時間をどの程度大切にしたいか
- 信仰、家族行事、冠婚葬祭への参加をどう考えるか
ここで見るべきなのは、答えが一致するかだけではありません。意見が違ったときに、相手が聞く姿勢を持てるか、自分も相手の背景を理解しようとできるかです。
宗教観の違いが気になる場合は、宗教観が異なるカップルのチェックリストも参考にしてください。
お金の情報を現実の数字で共有できるか
お金の価値観は、愛情だけでは吸収しきれないズレになりやすいテーマです。節約派か浪費派かという性格の話だけでなく、収入、貯蓄、借金、家計管理の責任をどう共有するかまで確認しましょう。
- お互いの収入、貯蓄、借金、奨学金、ローンの有無
- 生活費を共同口座で管理するか、それぞれが出し合うか
- 家賃、食費、通信費、保険料をどう分担するか
- 住宅購入、子どもの教育費、老後資金をどう考えるか
- 趣味、美容、旅行、嗜好品に使える金額の目安
「お金の話をすると空気が悪くなる」状態のまま結婚すると、結婚後に生活費や将来設計の話ができなくなります。少なくとも、毎月の固定費と貯蓄方針は結婚前に一度テーブルに出しておくのがおすすめです。
詳しくは結婚前に必ず話し合いたい「お金の価値観」完全ガイドも参考にしてください。
親族との距離感を本人同士で決められるか
結婚は本人同士のものですが、親族との関わりがゼロになるわけではありません。帰省、介護、冠婚葬祭、贈り物、親からの干渉などは、結婚後に急に現実の問題になります。
- 帰省の頻度や滞在日数をどうするか
- 親の介護や実家の資産管理をどう考えるか
- 相手の親から干渉があったとき、誰がどう伝えるか
- 夫婦の決定に親族の意見をどこまで入れるか
大切なのは、親を大事にするかどうかではなく、夫婦の境界線を二人で作れるかです。どちらか一方だけが親族対応を抱え込む形になると、不満が蓄積しやすくなります。
DV・モラハラの兆候を軽く扱わない
暴力や精神的な支配は、結婚後に深刻化することがあります。交際中に違和感があるなら、「結婚したら落ち着くはず」と期待して進めない方が安全です。
- 理不尽に怒鳴る
- 物に当たる、物を壊す
- 交友関係や行動を細かく監視する
- 相手の人格を否定する
- 生活費やお金の使い道を一方的に支配する
- 怒った後に極端に優しくなり、問題をなかったことにする
これらがある場合、二人だけで解決しようとしないでください。身の危険を感じる場合は110番、相談先に迷う場合はDV相談ナビ(#8008)やDV相談プラス(0120-279-889)など、外部の窓口につながる選択肢もあります。
詳しくはDV・モラハラ傾向チェックにまとめています。
浮気・不倫の境界線を曖昧にしない
浮気・不倫は、結婚生活の信頼を根本から崩すトラブルです。何を浮気とみなすかは人によって違うため、「普通はこうでしょ」と流さず、具体的に確認しておきましょう。
- 異性と二人で食事に行くことをどう考えるか
- 元パートナーとの連絡をどこまで許容するか
- SNSやDMでのやり取りをどう扱うか
- 秘密にしている連絡や予定をどう考えるか
- 不安が出たとき、スマホ確認ではなく会話で扱えるか
目的は相手を縛ることではありません。二人にとって信頼を壊す行動が何かを、結婚前に言語化しておくことです。
詳しくは結婚前に知っておきたい浮気トラブル予防策をご覧ください。
04今すぐ結婚を進めてよい状態・立ち止まるべき状態
LoveLaboでは、結婚前の確認を「不安探し」ではなく、「現実を一緒に扱えるかの確認」と考えます。目安として、次のように整理できます。
進めてよい可能性が高い状態
- お金、家事、親族、子どもなどの話題を避けずに話せる
- 意見が違っても、どちらかが一方的に押し切らない
- 不安を伝えたとき、相手が茶化したり逆ギレしたりしない
- 合意したことをメモや予定に落とし込める
- 完璧ではなくても、見直す前提を共有できる
一度立ち止まった方がよい状態
- 大事な話をすると、毎回けんかや沈黙で終わる
- お金、借金、家族問題などの情報を隠されている
- 「結婚すれば変わる」と自分に言い聞かせている
- 相手の機嫌を損ねないことが判断基準になっている
- 暴力、威圧、監視、人格否定がある
特に安全に関わる違和感は、相性の問題ではなくリスクです。迷う場合は、信頼できる第三者や専門窓口に相談してから判断してください。
05二人で話し合うための進め方
全部を一度に話そうとすると、重くなりすぎます。まずは次の順番で、小さく確認するのがおすすめです。
- この記事のチェック項目から、気になるテーマを3つ選ぶ
- それぞれが「理想」「許容できる範囲」「どうしても嫌なこと」を書き出す
- 相手の回答に対して、先に理由を聞く
- 合意できたことはメモに残す
- 半年後、1年後に見直す前提にする
話し合いの目的は、相手を採点することではありません。二人の生活を作るために、判断材料を同じテーブルに並べることです。
また、相手に求める条件を話し合う前に、自分が何を重視しているのかを整理しておくことも大切です。年齢、居住地、年収、働き方、家族観などの希望条件を客観視できると、相手との会話も現実的になります。
条件に合う未婚者の割合をデータで見たい場合は、ラブラボの無料診断で、自分の希望条件がどのくらい現実的かを確認できます。
06まとめ
幸せな結婚生活は、相性の良さだけで決まるものではありません。性格の不一致、お金、親族、DV・モラハラ、浮気などのトラブルは、結婚前から小さなサインとして見えていることがあります。
大切なのは、相手を疑うことではなく、二人で現実を扱える関係かどうかを確認することです。
完璧な答えを出す必要はありません。けれど、違和感を放置しないこと、話し合う習慣を持つこと、必要なときに外部の助けを借りることはできます。
小さな確認を積み重ねることが、安心して結婚生活を始めるための一番現実的な準備です。
07参考
本文内の統計・参考情報は、以下の資料をもとに確認しています。
- 厚生労働省 令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況
婚姻件数・離婚件数の確認に使用しています。
- 裁判所 令和6年 司法統計年報 家事編 第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別申立人別
婚姻関係事件の申立て動機データの確認に使用しています。
- 政府広報オンライン DVに悩んでいませんか。一人で悩まず、お近くの相談窓口に相談を!
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