理想の条件 2026.06.01 更新

「学歴が近い人と結婚する」は今も本当?日本の大学の“タイプ別”で見えた意外な分かれ道

「学歴が近い人どうしで結婚するものでしょ」と、なんとなく信じていませんか。学歴をどこまで気にすればいいのか、迷う場面は多いはずです。日本のデータを1本の研究から落ち着いて見直し、「会う前に相手を学歴で切るべきか」「自分の学歴を理由に最初からあきらめるべきか」を考える材料にします。

「お見合いで学歴を聞かれた」「プロフィールの学歴欄で、相手の反応が変わった気がする」。恋活・婚活の場では、学歴の話がふと重くのしかかる瞬間があります。「やっぱり学歴が近い人どうしで結婚するものなのかな」と、半ばあきらめのように感じる人もいるかもしれません。

この記事では、Fumiya Uchikoshi(内越文弥)氏が2022年に発表した論文を1本だけ取り上げて、「学歴が近い人どうしが結婚する傾向は、日本で今どうなっているのか」を整理します。結論を先に言うと、この傾向は全体としては少しずつ弱まっています。ただし、大学を「国公立か私立か」「私立でも理系か文系か」というタイプ別に分けて見ると、流れが一方向ではなく分かれていました。この研究が婚活で役に立つのは、学歴を一枚岩で見なくてよいと分かるところです。

1本の研究なので、これだけで「だから学歴は重要」「だから気にしなくていい」と言い切ることはできません。でも、世間でなんとなく信じられている「学歴の近い人どうしが結婚する」という像が、実は少し古くなっているかもしれない、と知っておくと、自分の学歴も相手の学歴も、いくらか肩の力を抜いて見られるようになります。先に実用面だけ言うと、学歴差だけで会う前に切るより、生活感覚・仕事観・お金の話が落ち着いてできるかを見るほうが、この研究の読み方としては安全です。

01まず結論:学歴は「近いほど結ばれやすい」傾向は弱まり中。ただし大学のタイプで差がある

数字でざっくり示すと、次のとおりです(細かい内訳は後半の「主な結果」で説明します)。

  • 全体としては弱まり: 似た学歴どうしで結婚する同類婚は、古い世代(1970〜1984年結婚)の48%から最新世代(2000〜2014年結婚)では37%超へ。人数構成の変化を差し引いた結びつきの強さも、3世代でおよそ20%下がっていました。
  • 大学タイプで逆向きに分岐: 私立理系と国公立大のあいだの“学歴の壁”を越える結婚は3世代で約40%起こりにくくなった一方、私立文系と私立理系のあいだは約20%越えやすくなり、流れが逆を向いていました。
  • 結びつきの強さは国公立大卒が最大: 似た学歴どうしの結びつきは国公立大卒で最も強く、同じ国公立大卒どうしは“結ばれやすさ”がオッズ比にして約21倍(モデル推定)。ただしこれは「国公立卒の21%」や「断られる確率」ではなく、ほかの組み合わせと比べた起こりやすさの比です。

ここでいう「同類婚」とは、夫と妻が同じくらいの学歴どうしで結婚することを指します。「同類婚が強い」というのは、その研究のなかで、似た学歴の人どうしが結婚する確率が、ほかの組み合わせに比べて高い、という意味です。誰かが「学歴で選んだ」と申告したわけではなく、結果として似た学歴どうしのカップルが多くなる、というデータ上の傾向です。

恋活・婚活への落とし込みとしては、まずこの一点です。「学歴が近くないと無理」という思い込みは、少なくともデータ上はだんだん当てはまりにくくなっている。 古い世代に比べると、学歴の違う組み合わせで結婚に至るカップルは増える方向なので、学歴差を理由に最初から相手候補を狭めすぎる必要はありません。

02「学歴を気にするかどうか」の現実的な目安

学歴をどこまで気にするか、自分の中の線引きを整理するための目安を置いておきます。研究の数字をそのまま行動ルールにするのではなく、「自分はどこにこだわっていて、どこは緩めても良さそうか」を見直す材料として使ってください。

場面落ち着いて見てよいこと気にしすぎかもしれないサイン
相手の最終学歴一緒に暮らす生活感覚・お金の価値観が合うか学校名のランクだけで会う前に切ってしまう
自分の学歴自分が大事にしたい話題・働き方を共有できるか「自分の学歴では釣り合わない」と最初からあきらめる
学歴差のあるカップル会話のテンポや尊重し合えているか「学歴差があるから長続きしない」と決めつける

研究が示しているのは「学歴が近い人どうしが結婚しやすい“傾向”が弱まってきた」という集団全体の話で、特定の個人の相性を予言するものではありません。だから、相手の学歴は、相性を見るうえでのひとつの情報にとどめて、会話の内容や価値観の重なりを優先するくらいでちょうどよい、という読み方ができます。

03恋活・婚活ではどう受け取るか

ここからは、研究結果そのものではなく、生活場面での見方です。研究が言っているのは集団の傾向までなので、ここからは「自分の婚活でどう使うか」という解釈として読んでください。

  • 「学歴が近くないと無理」という前提は、ゆるめてよい。 結婚成立のパターンで見ると、似た学歴どうしの結びつきは弱まる方向で、学歴の違う組み合わせは(古い世代との比較で)相対的に増えていました。学歴差を理由に、会う前から相手を外しすぎる必要はありません。
  • 「学歴フィルターのきつさ」は相手の出身校タイプで体感が違うかもしれない、と知っておく。 この研究の範囲では、選抜性の高い層ほど内側で結びつく傾向が強まっていました。もし学歴の話で温度差を感じても、それはあなた個人の価値ではなく、層ごとの傾向の違いが背景にある可能性があります。自分を低く見積もる材料にしないでください。
  • 見るべきは「学校名のランク」より「生活と価値観の重なり」。 学歴はお金の使い方や働き方の感覚と多少関係しますが、相性そのものではありません。学歴欄で止まらず、お金・仕事・休日の過ごし方の話が落ち着いてできるかを見るほうが、長く一緒にいられるかの手がかりになります。

04この研究は何を、どうやって調べたのか

ここからは、根拠になっている研究の中身です。先に見方を一文だけ。この研究は「個人がどう選んだか」を聞いたものではなく、実際に結婚したカップルの学歴の組み合わせが、時代とともにどう変わったかを統計モデルで分析したものです。

  • 対象データ: 慶應義塾大学パネルデータ設計・解析センターが提供する2つのパネル調査、消費生活に関するパネル調査(JPSC)と慶應義塾家計パネル調査(KHPS)。どちらも本人だけでなく配偶者の学歴も尋ねている点が、この分析のカギになっています(多くの調査は配偶者の大学のタイプまでは聞きません)。
  • サンプル: 学歴情報がそろった夫婦7,086組(JPSC 2,563組+KHPS 4,523組)。結婚年は分析上1970〜2014年に絞り、これを15年ずつの3つの結婚コホート(1970〜1984年/1985〜1999年/2000〜2014年)に分けています。
  • 学歴の分け方: 学歴を5区分に。(1)高校以下、(2)短大・高専・専門学校(記事では短大系とまとめます)、(3)私立大の文系、(4)私立大の理系、(5)国公立大。私立大を理系/文系に分けているのは、大学の入りにくさ(選抜性)の代わりの目印として便宜的に使っているものです。著者は、1990年代以降に短大から四年制に格上げされた選抜性の低めの私立大の多くが文系中心だった、という日本特有の事情を理由に挙げています。あくまで目印なので、難関の私立大などの例外もあります。自分や相手の出身校を、この区分に機械的に当てはめないでください。
  • 方法: 対数線形モデルと対数乗法モデル。これは、男女それぞれの学歴の人数構成(時代で変わる)を差し引いたうえで、「似た学歴どうしが結婚する結びつきの強さ」と、その時代変化を取り出すための統計手法です。観測された割合そのものではなく、構成のかたよりを調整した後の傾向を見ている、と捉えてください。

主な結果(数字の中身)

数字を、意味が分かる形で並べます。

  • そのまま数えた割合(調整前): 結婚したカップルのうち学歴が同じくらいの同類婚は、1970〜1984年コホートで48%、いちばん新しいコホートでも37%超。割合としては減りつつも、依然として一定数を占めています。これは「全カップル中の割合」であって、効果の大きさではありません。
  • 構成を調整した後の結びつき: 夫と妻の学歴の結びつき(対数オッズ比でみた強さ)は、3つのコホートを通じておよそ21%低下していました。著者は本文の議論で「約20%の低下」とも述べています。つまり、人数構成の変化を差し引いても、似た学歴どうしの結びつきは弱まる方向だった、ということです。
  • 同類婚の強さは大学タイプで差があった: 似た学歴どうしで結婚する結びつきは、国公立大卒で最も強く、次いで私立理系、私立文系の順でした。いちばん強い国公立大卒では、同じ国公立大卒どうしの組み合わせが、モデル上かなり強く出ていました(対数オッズ比3.04=オッズ比約21倍、95%の幅で見ても2.69〜3.39の範囲)。これは「国公立大卒の人の21%」という人数割合でも、個人が断られる確率でもなく、「組み合わせの起こりやすさ(オッズ)の比」である点に注意してください。
  • 流れが分かれていた(この研究の中心的な発見): 大学タイプ別に時代変化を見ると、国公立大卒は新しいコホートほど似た学歴の相手と結婚する傾向が強まる一方、私立大卒(理系・文系とも)は弱まる、という逆向きの動きが出ていました。具体的には、私立理系と国公立大の間の境界(いわば学歴の壁)を越えた結婚は3コホートで40.4%起こりにくくなり、逆に私立文系と私立理系の間は20.0%、短大系と私立文系の間は7.4%、境界を越えやすくなっていました。これは個人が断られる確率ではなく、結婚した組み合わせ全体をモデル化したときの「境界の越えにくさ」の変化です。

要するに、「学歴が近い人どうしで結婚する」という全体傾向は弱まっているが、その内訳では、選抜性の高い国公立大の層は内側で結びつきを強め、私立大の層は外側に開いていく、という二つの流れが同時に進んでいた、というのがこの研究の見立てです。

私立大層で結びつきがゆるむ背景については、著者はひとつの鍵を挙げています。著者の解釈では、低選抜層に分類される私立大へ進む女性が増えたことで、その層の女性が「自分より学歴の高い相手と結婚する」機会が相対的に狭まった、という男女で非対称な変化です。なぜ流れが分かれるのか、その向きを読むうえで参考になる見方として紹介しておきます(ひとつの解釈であり、断定ではありません)。

なお、著者自身が結果の確実性についても慎重です。モデルの当てはまり(BIC)でみると「時代変化なし」のモデルが最もよく当てはまる一方、別の統計検定(カイ二乗検定)では時代変化を支持する、という具合に判定が割れています。著者は「同類婚の全体的な低下への支持はやや弱い」と本文で明記しています。「学歴差婚が急増した」と読むより、「ゆるやかに弱まりつつ、層によって向きが違う」と読むのが、この論文に忠実です。

05この数字を使うときの注意

最後に、この研究を自分の婚活に当てはめるときの注意点を一箇所にまとめます。同類婚の傾向は集団の話で、目の前の一人の相性を決めるものではない、という点が大前提です。

  • 古い結婚も含むデータです。 分析対象は1970〜2014年に結婚したカップルで、いちばん新しいコホートでも2000〜2014年。今まさに婚活している人の市場をそのまま写した数字ではありません。「学歴の見られ方は時代とともに変わってきた」という流れを読む材料として使ってください。
  • 「結婚した時点の組み合わせ」を見た研究です。 この研究が見ているのは、結婚が成立した時点での夫婦の学歴の組み合わせが、時代とともにどう変わったかです。結婚後にその関係が続いたか、長続きしやすいかは測っていません。「学歴差のカップルは離婚しにくい」といった話ではない点に注意してください。
  • 学歴の分け方は粗めです。 著者自身が限界として挙げています。国公立/私立、理系/文系という大きな区分で、個別の大学名や学部の細かな違いまでは見ていません。私立大の理系/文系を「選抜性の目印」として使っているのも便宜的なもので、例外(難関の私立大など)はあります。自分や相手を、この区分に機械的に当てはめないでください。
  • これは相関であって、因果ではありません。 「国公立大に行けば似た学歴の人と結ばれやすくなる」と言っている研究ではありません。学歴と結婚相手の組み合わせに、時代ごとの傾向があった、という関係を示したものです。
  • 離婚による偏りの可能性があります。 過去に結婚して別れたカップルは集計に残りにくいため、著者は「古いコホートほど同類婚に見えやすく、同類婚の低下を過大評価しているかもしれない」と注意しています。つまり実際の変化は、数字よりさらに穏やかな可能性があります。
  • サンプルは大規模調査としては小さめです。 7,086組はこの種の分析として潤沢ではなく、特に大卒と非大卒の組み合わせのマスが薄くなりがちです。著者も「より大きなデータでの再検証」を今後の課題に挙げています。

これらを踏まえると、この研究は「学歴で相手を選ぶべきかどうか」の答えではなく、「世間で信じられているほど、学歴が近い人どうしで結婚する時代ではなくなりつつある」という流れを確認する材料として読むのが、ちょうどよい距離感です。

06まとめ

「学歴が近い人どうしで結婚するもの」という思い込みは、日本のデータを見るかぎり、少なくとも「昔と同じ強さで当然」とは言いにくくなっています。Uchikoshi(2022)は、その傾向が全体として弱まる一方で、大学のタイプ(国公立か私立か、私立なら理系か文系か)によって流れが分かれていたことを示しました。

恋活・婚活では、相手の学歴を「相性を見るひとつの情報」にとどめ、学校名のランクで会う前に切らない、自分の学歴を理由に最初からあきらめない、という構えが現実的です。学歴は、あなたや相手の価値そのものではありません。落ち着いて会話を重ねるなかで見えてくる、お金や仕事や暮らしの感覚の重なりのほうを、ぜひ優先してみてください。

Research note 裏付けにした論文

細部を確認したい方向けに、論文の枠と主な数値を残しておきます。

著者
Fumiya Uchikoshi(内越文弥)
タイトル
Explaining Declining Educational Homogamy: The Role of Institutional Changes in Higher Education in Japan
掲載誌
Demography, 59(6), 2161–2186
出版年
2022年
対象データ
慶應義塾大学パネルデータ設計・解析センターの2調査(消費生活に関するパネル調査 JPSC、慶應義塾家計パネル調査 KHPS)。本人と配偶者の学歴をともに尋ねている
サンプル
学歴情報がそろった夫婦7,086組(JPSC 2,563組+KHPS 4,523組)。結婚年1970〜2014年を15年ずつ3コホート(1970〜1984/1985〜1999/2000〜2014)に区分
学歴区分
(1)高校以下、(2)短大・高専・専門学校、(3)私立文系、(4)私立理系、(5)国公立大の5区分。私立の理系/文系は選抜性の便宜的な目印として使用
方法
対数線形モデル・対数乗法モデル。男女の学歴の人数構成を調整したうえで、似た学歴どうしの結びつきの強さと時代変化を推定
主結果1(全体)
観測割合の同類婚は1970〜1984年コホートで48%、最新コホートでも37%超。構成調整後の結びつき(対数オッズ比)は3コホートを通じて約21%低下(本文の議論では「約20%」とも記載)
主結果2(タイプ別の勾配)
同類婚の結びつきは国公立大卒で最も強く(対数オッズ比3.04=オッズ比約21.0、95%幅2.69〜3.39)、私立理系、私立文系の順に弱い
主結果3(分岐)
国公立大卒は新しいコホートほど結びつきが強まる一方、私立大卒(理系・文系とも)は弱まる。私立理系×国公立の壁越えは40.4%起こりにくく、私立文系×私立理系は20.0%、短大系×私立文系は7.4%起こりやすくなった
判定の慎重さ
モデルの当てはまり(BIC)では「時代変化なし」が最良な一方、カイ二乗検定は時代変化を支持。著者は「同類婚の全体的な低下への支持はやや弱い」と明記
限界
1970〜2014年の古い結婚も含む。学歴区分は粗く、私立の理系/文系は便宜的な選抜性プロキシ。相関であり因果ではない。離婚脱落で同類婚の低下を過大評価している可能性。サンプルは大規模分析としては小さめで、より大きなデータでの再検証が課題
出典の確認状況
出版版(Demography, 2022)はペイウォールのため全文未確認。本文の数値は著者のワーキングペーパー版(CSRDA Discussion Paper No.2, 2020年8月)の本文・表から確認。出版版アブストラクト(PubMed PMID 36218323)と主要結論は一致
DOI
https://doi.org/10.1215/00703370-10271332
ワーキングペーパー
https://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/international/dp/No.2.pdf

07参考文献

Sources

本文内の統計・参考情報は、以下の資料をもとに確認しています。

L

LoveLabo編集部

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