出会い・プロフィール 2026.09.16 更新

条件外の相手でも、断りにくいのはなぜ?|恋愛の「進展バイアス」を考える

次の誘いを受けるのは、また会いたいから?それとも断ると悪い気がするから?恋愛が前に進みやすい心理「進展バイアス」から、迷ったときの次の一歩を考えるヒントを紹介します。

プロフィールを見た時点では、正直「条件が違うな」と思っていた。でも実際に会ってみると感じは悪くないし、次の誘いを断る決定的な理由も見つからない。気づけば3回目のデートの約束をしている——。

「こんなふうに断れない自分は、流されやすいダメな人間なのかな」

婚活や出会いの場で、そんな迷いを抱えたことはありませんか?その自己嫌悪を解きほぐす材料になるのが、JoelとMacDonald(2021)のレビュー論文です。

著者たちは、人間の恋愛の判断には、関係を「始める・深める・続ける」方向に傾く力があると論じ、これを「進展バイアス(Progression Bias)」と呼んでいます。

01「断れなさ」は意志の弱さだけではない

レビューで紹介された研究には、「条件に合わない相手でも、デートの機会が現実のものだと感じると断りにくくなる」という興味深い結果があります。つまり、断れないのはあなたの意志が弱いからではなく、人間が持つ心理的な傾向でもあるのです。

だからといって、「すべてバイアスのせいだから仕方ない」と諦める必要もありません。次の一歩に迷ったときは、自分のなかにある「また会いたい気持ち」と「断ると悪い気がする気持ち」を分けて振り返ることが、納得のいく選択への鍵になります。

02婚活で試したい、ラブラボからの3つの提案

ここからは研究の知見を参考に、迷ったときに試してほしい3つのステップを提案します。

1. 「会う前の条件」と「会ったあとの気持ち」のズレを許容する

会う前に設定した希望条件と、実際に会って話したあとの気持ちがズレることはよくあります。「理想がブレてしまった」と自分を責める必要はありません。

一方で、結婚観や住む場所など、自分にとって本当に譲れない軸まで黙って下げる必要もありません。もし希望が変わったなら、「いまの自分は本当にそれで納得しているか?」を冷静に確かめてみてください。

2. 「断れない理由」を3つに分けてみる

次の誘いを受けそうになったとき、自分の背中を押しているのは以下のどれに近いでしょうか。

  • 純粋な興味: また話したい、もう少し相手を知りたい。
  • 罪悪感: 断ると相手に申し訳ない、傷つけたくない。
  • 不安: ここで断ったら、また振り出し(ひとり)に戻るのが怖い。

純粋な興味があるなら、もう一度会ってみるのも立派な選択です。しかし、罪悪感や不安が中心になっている場合は、その場で返事をせず、少し時間を置くのが賢明です。もちろん、理由が複数混ざっていても大丈夫です。まずは自分の現在地を知ることが大切です。

3. 大事な一歩は、自分の「納得感」を確かめる機会にする

日本の婚活では、真剣交際への切り替えなど、関係性が大きく変わるタイミングがあります。流されて進むのではなく、「いまの自分は本当に進みたいか」「この一歩で何が変わるか」を立ち止まって確認する時間を作りましょう。

もしペースを落としたいときは、次のように伝えてみるのも一案です。

「今日は楽しかったです。次のことは、少し考えてから連絡させてください」
「私はもう少しゆっくり知っていきたいので、真剣交際の話はあと何回か会ってからにしたいです」

03【研究データ】どんな場面で断りにくくなるのか?

この論文は、恋愛の開始・交際中の投資・別れの判断を扱う既存研究を整理した「理論的レビュー」です。

紹介された実験の一つ(Joelら, 2014)では、独身の大学生が好みのプロフィールを選び、「相手もあなたを選んだ」と伝えられました。その後、相手には自分が事前に「これがある人とは付き合いたくない」と挙げたNG特徴が2〜3個あると知らされます。

参加者を二つの条件に分けたところ、次のような違いが出ました。

実験で伝えられた状況デートを断る選択をした人の割合
仮の場面(想像)だと伝えられた54%
本当のデートの機会だと信じた26%

この実験のポイントは、相手にまだ会っていなくても、現実の機会だと信じるだけで判断が大きく変わった(断れなくなった)という点です。

著者たちは、相手を傷つけたくない気持ちや、ひとりでいることへの不安などが、関係を進める判断に影響していると論じています。

04この研究を読む際の注意点

紹介された研究の多くは北米・西欧の大学生などを中心としており、日本の婚活市場における判断を完全に説明するものではありません。

進展バイアスが「満足できない関係に人を縛り付ける」のか、それとも「欠点を乗り越えて関係を育てる助けになる」のかは、今後の研究課題とされています。「条件を緩めれば必ずうまくいく」という単純な結論にはなりません。

※なお、恐怖感や暴力(言葉を含む)がある関係から離れにくい場合は、バイアスや個人の意志の問題にせず、安全を最優先してください。一人で抱え込まず、信頼できる人やDV相談ナビ(#8008)などへ相談してください。

05次の一歩に、自分の気持ちも含める

相手への気遣いは素晴らしいことですが、自分の迷いを脇に置く必要はありません。次の約束をするときは、「相手が望んでいるか」だけでなく、「自分も望んでいるか」を主語にして確かめてみてください。


参考文献

  • Joel, S., & MacDonald, G. (2021). We're not that choosy: Emerging evidence of a progression bias in romantic relationships. Personality and Social Psychology Review, 25(4), 317–343. 論文(DOI)/PMC全文
  • 本文で紹介したJoelら(2014)とEastwickら(2011)の結果は、上記レビュー論文の記載に基づいています。
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LoveLabo編集部

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